クリエイティブエコノミー

先進工業国の経済は今、極めて重大な変換期にあるといってよいでしょう。1970年代中期の製造業、重工業はもはや衰退の途にあります。1973年に 出版された 「 The Coming of Post-Industrial Society – ポスト工業社会の到来 」 の中で予見されたことが世界中の主要な経済体系でまさに今、起っているのです。新しい経済は、かつての産業主義の時代に人々が経験した「忍耐」という側面を持ち合わせてはいません。現代の新しいテクノロジーは、国家や地域に、これまでの歴史的なサイクルなど軽く飛び越える規模の発展サイクルを実現させるものです。そして、世界中で未来の経済成長のカギとなる、クリエイティブ産業のような新しいセクターをひきつけているのです。

過去に栄華を誇った工業系の中心地は、今や失業や人口減少にあえいでいます。農業、製造業、従来の重工業への雇用は減少の一途をたどっているわけですが、その一方で、サービスやクリエイティブ産業では劇的な雇用増大となっているのです。また、平均賃金においてはクリエイティブセクターがサービス業や製造業といった分野を大幅に上回っています。

スティーブン・ベイリー(英/デザイン批評家)は、彼の洞察に満ちた記事 「21世紀における50の素晴らしいアイデア= 50 Great Ideas for the 21st Century」 のなかでこう述べています。

「アイデアを生み出すということが、今や最も重要な経済目的となった。いいアイデアは予測のつかないような、またドン・キホーテのように非現実的な考えを持つ人たちから出てくるものだ。しかし残念なことに、そうした人たちは、従来型のビジネス環境には合わないようにできているのである。」

クリエイティブエコノミーとはどういう経済なのか。それは非常に複雑なため、間違った解釈がされたり、価値がないもののように定義されたりしています。また、クリエイティブエコノミーは地球規模の経済であり、常に変化し、リスクに満ち、失敗に終わる可能性を秘めているともいえます。世界的に状況が変化する現代において、地方、または中央の行政機関が為すべきは、クリエイティブエコノミーを刺激し、発展させる何らかの方策を見いだすことです。しかも様々な動きを自ら統率するのではなく、「手の届く距離」から見守るという姿勢をとるのです。もちろん容易ではありませんが不可能なことでもありません。それが実現するかどうかは、クリエイティブな才能、クリエイティブな見地に立ったマネジメント、またビジネスに精通したクリエイターたち、そして、それら全ての力に因るところが大きいということは言うまでもありません。

ニーズは明らかにある。恵まれた報酬とチャンスも無限にある。世界中で、クリエイティブエコノミーに関連する活動が、GDP平均値を追い越す勢いの成長を遂げ、あるケースでは成長率 250% とされています。ポスト工業経済の将来が、活気に満ちダイナミックなクリエイティブエコノミーを必要としているのはもう明らかです。では、そもそもクリエイティブエコノミーとは一体どのような経済なのでしょう?

これについては、引き続き、ディスカッションドキュメント 「 クリエイティブ経済の青写真= Blueprint for a Creative Economy 」 をお読み下さい。