法制度の緩和

クリエイターとクライアントの両者にとって納得のいく内容で交渉が整ったとしても、それを書面にする段階になってさまざまな問題が起こることがあります。

弁護士に対してしっかりブリーフィングをしていなかったり、クリエイティブなプロセスをよく理解していない弁護士だったりすると、滅茶苦茶にされてしまう可能性があります。彼らが優先するのはクライアントの利益であり、条件の中に少しでもよくない兆候が見られればそれを排除しようとします。そのようにして課される制限は、ビジネス上の関係が変化と適応というダイナミズムを求めている場合に大きな障害となる可能性があります。

インハウスのチームのアイデア不足に困り果てたAという会社があると仮定します。彼らはクリエイティブ・エージェンシーを訪ね、新鮮なアイデアを得ようとします。条件を交渉し、両社のチームは協力してマーケットをひっくり返すような斬新なものを作ることになりました。しかし、両社の法務部門の間で知的財産の所有権について合意が得られませんでした。大きな投資を要した既存のノウハウをシェアする必要があったからです。顔も知らない株主のために、弁護士は秘密を明かすことはできないと主張します。正当な守秘義務契約を結んだとしても同じです。最終的に、上層部がこのコラボレーションの結果を見た時には、特に新しい要素は何もないものに仕上がっていました。高額なビジネスプロセスの結果が失敗に終わり、そのクリエイティブ・コンサルタントは革新性がないというレッテルを張られてしまいました。本当に革新性に欠けていたのは弁護士であるにも関わらず。

法的な視点から見れば、企業を守るために直感的に権利の悪用や資産の喪失を回避しようとするものなのかもしれませんが、解放的な姿勢と失敗を許容する柔軟性をもてなければ、クリエイティブな分野においては革新的で質の高い結果を出すことはできないでしょう。長期的に見れば、少しのアイデアが流出するよりもずっと大きな損害を被ることになるのです。その損害とは創造性の麻痺であり、企業は徐々に退化していきます。全ては革新性を引き出すべきマネージャーが法務部門の意見を覆すことができなかったからです。

若くて革新的な企業は、ベテラン弁護士の弱気な決断などには構っていられません。退路を断ってあえてリスクを負うように心がけています。クリエイティブな企業家とはこのような人間のことなのです。そして、退化してしまった企業は彼らのよい餌となってしまうでしょう。