クリエイターを理解する

マネージャーであるあなたは、自分の時間の80%を何らかのコミュニケーションに費やしていることでしょう。何かを読んだり、書いていたり、聴いたり、話したり・・・おそらく会議やプレゼンテーションの場などで。あなたがラッキーな人なら、その他の時間は考え事をしたり、自分が満足するための何かを創ったりしているかもしれません。しかし、クリエイターたちというのはあなたと全く反対の時間の使い方をしています。「自分はコミュニケートばかりしているなぁ」とあなたが感じているように、クリエイターたちも「自分はクリエイトばかりしているなぁ」と思っているのです。きちんとした相互理解、またマネージメントがされていなければ、両者の関係はフラストレーションに満ちたものになってしまいます。

クリエイターにとって最良の環境を挙げてみましょう。それは、作品のブリーフィングが整然と穏やかな会話によってなされ、仕事の契約がスムーズに終わり、ゆとりあるスペースでクライアントからの邪魔も入らずに作業が出来る。では、クライアントにとっての最高のケースはどうでしょう。クリエイターたちがこちらのブリーフィングをきちんと理解し、予算・期日を守って作品を創り、作業過程においても進捗状況の報告があり、こちら側の要求を素直に受け入れ、やがてはあなたが望んでいたような素晴らしい出来映えの作品が提出される。(あっ、プロジェクトのスタート時、クライアントには一体どんな作品になるのか想像できなかったかもしれませんが)

しかし、現実はこうです。ブリーフィングがうまく運ばずに誤解が生じ、問題だらけの契約がいやいや結ばれます。その上、ビジネス側のマネージャーたちは、クリエイターにしてみたら3歳の子供でもヘンテコだと分かるような注文を作品につけます。また、クリエイターたちはマネージャーにしてみれば全く重要とは思えないようなコンセプトを宣い出し、両者のコミュニケーションはゼロ。しかし、そうしたひどい状況にあっても現実には実に素晴らしい作品が誕生しているのです。

「クリエイターたちが集まった会社と仕事をするのは、やっかいであって当然だ。」

良いクリエイターにとっては、それが個人でも会社になっても、まず何と言ってもクリエイティビティーありきなのです。経営がうまくいっているクリエイティブの会社は、クリエイティブな部分に使えるお金をセーブする為に、人件費のかかるスタッフをいたずらに雇ったりしません。そのためコミュニケーションを担当する人がいなくて、連絡がうまくとれないという状況に陥るかもしれません。また、クリエイターたちの主な資産ともいえるポートフォリオを大切に守り、クリエイティビティーにおいて自分たちの信じることは譲れないと言い出すかもしれません。あなたにしてみれば、クリエイターが深く大切に思っていることがさほど重要とは思えず、彼らと議論することになってしまかもしれませんね。あなたとまじめに仕事をしたいと思っているクリエイターなら、何かおかしいなと思ったことがあったら、それを進言として臆する事なくあなたに伝えてくるでしょう。あなたのほうがクライアントで報酬を払っていてもです。また、クリエイターたちが真に才能豊かで歴史に残るような作品を創っている時は、自分たちの会社の支払いの方はたいへんで、キャッシュフローにも細心の注意を払って見ているようなたいへんな状況であることでしょう。

困難な状況に対処するというのは、マネージャーの仕事の一部です。もし、それが嫌なら、平凡なレベルのクリエイターたちが働く大きな会社でマネージャーになるのがいいでしょう。彼らはボスであるあなたに言い返してきたりせずに言われた通りの仕事をしてくれます。でも、それ以上のすばらしい作品を生み出してくれることはないと思いますが。