キャッシュフローがすべて その2

キャッシュフローという暗闇に灯りを点すのは簡単なこと。ほんの数分間、スプレッドシートと向かい合えばいい。紙と鉛筆を使ってこつこつやる手もありますが、得策ではありません。何故なら、キャッシュフローで最も重要なのは、細かい数字ひとつひとつではなく、もっとダイナミックな全体の流れだからです。状況はどんどん変わっていくもので、スプレッドシートはそうした流れを読むのに適しています。「そんなの知らなくてもいいよ」と言い訳せずに、ここで基本的な会計ソフトの使い方を学びましょう。始めてみると、それは意外と簡単。あなたのビジネスの経理面に、最高の灯りを灯してくれることになるのです。 

「この灯りが恐怖を払う術なのだ。真夜中、暗い寝室を去来する奇妙な物音へ我々が感じる恐怖も、勇気を持ってベッドサイドのランプをパチっと点けてしまえば、たちまち消滅してしまうのと同じように。」

新しいスプレッドシートの最初の縦の欄にまず「詳細」と見出しをつけます。そして、隣りは支払いの欄として決まっている出費、例えば家賃などを書き込んでいく。あとは、その右の欄からそれぞれの月毎の収支を書き込んでいけばいいのです。より細かく正確な動きを知るために、週ごとの計算にしても良いし、必要であれば一日単位でも!(収支を毎日計算して、なんとかやりくりしなければならない。そんな大変な状況も時にはあるでしょう)ひと月を前期後期の2期に分けて表記し、それを3ヶ月ごとに見直して今後の予測をたてるのがよいと言われているようですが、フォーキャスト(予測)の期間等については、それぞれ自分に合った方法でやるのがいいでしょう。

詳細の欄にはその月の入金をすべて書き入れ小計を出す。また、考えられる経費や他の出費の小計も出しておく。そして、現在の口座の残高に報酬等の収入の小計を足し、さらに経費等支出の小計を引いていけば、月末には「口座の残高はこうなっているはず」という状態を予測できます。実に簡単です。スプレッドシート(会計ソフト/会計表)を使えばなおさらのこと。スプレッドシートなら、違った金額を入れ直せば新たな合計金額を自動的に計算してくれます。あとは、今月の残高を持ち越して、新たな月からまた同じプロセスを繰り返していく。家賃や借入金の返済、また従業員がいるなら彼らの給料など、その月の決まったコストを入れるだけで瞬時にキャッシュフローの予測ができるのです。ここを押さえたなら、あなたはもうすでにビジネスをきちんとやっていく、その大切な一歩を踏み出したことになります。

スプレッドシートはとりわけ洗練されていなくてもいいのですが、もしクライアントが期日まで報酬を支払わなかったら、あなた側の経理状態がどうなってしまうのかを示してくれるものでなくてはなりません。ここに示される情報が、あなたにどのクライアントとどういう条件で仕事を進めるのがいいのか教えてくれます。正確な経理の情報があれば、例えば「報酬の50%を事前に払ってもらわないと、この仕事は回っていかないんです」とクライアントと交渉したりもできます。また、送られて来た請求書の支払いがひと月くらい遅れてしまうような時にも、キャッシュフローの情報があれば支払い方法を決める最初の段階で、あなたの経理状況にあった返済にしてもらえるよう相手に事前に相談もできます。こちらの状況をきちんと開示して相談してみると、驚くことに相手の方もかなり柔軟に対応してくれるものなのです。

キャッシュフローの管理を始めて経理状況を把握すること、スモールビジネスにおいては、このことが唯一無二の最も重要なことです。自分ではやらないというのなら誰か違う人にやってもらうこと。必ず!「経理なんて、絶望だ〜」と砂に顔をうずめたり、「お金のことは全然わからな〜い」と両手を天に広げてみたり、また「金の計算なんかより大切なクリエイティブなことを自分はやりたいんだ」などと嘆いていてはいけません。キャッシュフローがわかってくると、自分が本当にやりたい仕事というのものがわかり、選べるようになってくる。逆に、ほおっておいて何も分からないという状況なら、あなたのビジネス、将来の見通しはかなり暗いものになります。