諸経費の問題

個人がビジネスを進める上で、難しいルールはありません。また即効性のあるルールもありません。ひとつ間違いないのは、「諸経費が管理されておらず不必要な出費が多いとき、クリエイティブの会社は傾いていく」ということです。

諸経費は簡単に言うと、入ってくる仕事の数に関わらず支払わなければならない費用。つまり、あなたの傍を決して離れないかいぶつが、頭の上で「ゴハンちょうだい!」と言っているようなものです。諸経費には、事務所の家賃、スタッフへの給料、そしてリース料などが含まれます。また、光熱費やインターネット接続料、会計士に支払う年間手数料や法律事務処理の費用など、まだまだあります。つい忘れて、全てを網羅できないものです。

諸経費を全て払い終えて初めて、あなた自身がお金を手にすることが出来ます。月の初めに、いわば「諸経費のドア」を開けたらそれを閉じる前に、その一部始終について把握していなければなりません。諸経費は、時にビジネス上の微妙な決断を迫られる際の足かせになります。その問題に縛られてしまうこともあるのです。自分のポートフォリオ上で光るわけでもない、あまりやる気が起きないような仕事でも、報酬がよければ請求書の支払いのために受けたくなるというのも当然のことでしょう。しかし小規模なクリエイティブの会社が、創造性が育つわけでもない、ポジティブなエネルギーに満ちてもいない、内容のない仕事を請け負うというのはよくないことです。その仕事が、会社にとって致命的な損害となることもあります。その仕事の完成に何ヶ月もの長い期間を要するなら尚更です。あなたのポートフォリオはダイナミックな力を持った生き物であり、あなた自身がいいものを与え育てていくものなのです。ポートフォリオに載せられないような作品の制作に1年もの時間を費やしてしまったら、次の仕事のために可能性のあるクライアントに見せる作品がどこにもないということになってしまいます。あなたは去年と全く同じ作品をクライアントに見せられますか?

「諸経費の問題がクリエイティブの会社の命取りになることも・・・」

クリエイティブの会社たるもの、クリエイティビティ、つまり創造的であることを第一の信条とすること。それには諸経費を出来るだけ少なく押さえることが大切なのです。それがうまくできないなら、あなたの会社のシステムにちょっとした「ヒビ」があるということなのかもしれません。事務管理のサポートが欠けている、使っているソフトが古い、コンピューターの速度が遅いなどハード面に欠陥があるのかもしれない。現状では、派手な店構えなど望むべくもなく、ハイテクなイメージの受付に制服の受付嬢を座らせることはできないかもしれません。しかしなかなか思い通りにならなくても、クリエイティブなよい仕事を選ぶという自由は手にしていますよね。そしてよい仕事をしていれば、よい機会に恵まれ、ひいては高い報酬にもつながっていくものです。

経理に関しては、長期に渡る約束事をきちんと把握しておくようにしましょう。例えば、契約を果たす前に、不履行になった場合のペナルティーについての条項や、借りている仕事場の修復などに関しても知っておくようにします。

スタッフへの給料の支払いは、諸経費のなかで大きな部分を占めることになるでしょう。給料のほかにもいろいろあって、さまざまな給付金や健康保険、税金の負担額、また解雇の費用についても法律で決められています。従業員がただそこにいるというだけでもお金はかかるのです。まず机がいるし、コンピューターやそれに付随する機器なども仕事をする上で必要です。もちろん、電気や水道も使うし、いろいろな消耗品も。スタッフへのトレーニングや指導にかかる時間も考慮しなくてはなりません。ある程度の規模の会社では、管理的立場のマネージャーたちは本来の仕事やクライアントに関する業務よりも自分たちのスタッフに関わる問題に、より多くの時間を費やしています。

クリエイティブの会社は、動きがすばやくて変化にも瞬時に対応できなければなりません。自社内にいる人ではなく、プロジェクト毎にフリーランスのプロデューサーを雇うのは、短期的には高くつくように思われますが、短期のフリーランスプロデューサーの方が柔軟に正しい戦略的決断を下していけるというメリットもあるので、長期的に見ればはるかによい結果を生み出すこともあります。