開業資金の調達

ビジネスを始めるにあたって、充分な資金を調達するのはなかなか難しいかもしれません。本当のところいったいいくら必要なのかを知ることは重要です。それを把握するには、溌剌とした思考と充分な理解力が必要です。キャッシュフローの記事で取り上げているスプレッドシートを利用すれば、その額を算出することができます。また、収入と報酬の合算が経費を上回る時期がいつ頃になるのか、より現実的な予測をたてておかなければなりません。Cibnetのいくつかの記事が、実際の数字を計算するときの手助けになると思います。同じフィールドや、近隣の場所で起業しようとしている人たちと実際に話をしてみることも大切です。(こういう場面でCibnetの facebookページ を是非活用してもらいたいと思います。)さて、可能な限りのアドバイスを受けたのに、必要な資金が見る見る膨らんでしまったとしましょう。そのような場合でも、あなたにはその倍の金額が必要になると思ってください。多くの起業の試みが失敗に終わってしまう理由の1つは、初期段階での資金不足なのです。

損益分岐点に到達するまでの期間の長さは、ビジネスの規模、あなたの運、マーケティングの仕方、経費の割合など、様々な要因の組み合わせで大きく変わります。その多くは、あなたがコントロールできないものかもしれません。昨今は若者の成金話を至るところで耳にします。学生時代に素晴らしいアイデアでビジネスを起こし、経済的にも成功した人たちです。でも本当に苦労をした人は、大げさに公言したりしないものです。そのことは覚えておいてください。

では、実現可能な起業のシナリオを考えてみましょう。

自宅で作業する個人クリエイターであるあなたは、潤沢な資金をもつクライアントの興味をそそるような作品を作り貯めます。いわば自身の資産を蓄えることにつながるこの作業には、1年ぐらいかかるかもしれません。例えば、本を執筆したり、いいポートフォリオを作ったり、コンペへ出展したり、自作の楽曲のレコーディングをしたり、映画の脚本を書いたり、ショートフィルムの撮影をしたり・・・どれも時間がかかります。また同時に、作品を買ってくれる人を見つけること。より大きな資金を出してもらえるパートナーを探し出す為のプラン作りもしていかなければなりません。こうした作業に従事する期間の生活費、家賃、(あれば)住宅ローン、食費、光熱費が必要です。その資金は何処から出てくるのかというと、多くの場合は両親を頼る、パートナーや友人によるサポート、貯金を切り崩す、あるいはフルタイムの仕事をすることも考えられます。この段階で銀行から借りることはあり得ません。

「銀行は、あなたが必要ではない時にしかお金を貸してくれない。」~ ボブ・ホープ(米コメディアン)

あなたが銀行に、借りたい金額を上回る資産を提示したとしましょう。もしかしたら、万が一ですが、その場合は銀行は特別に融資してくれるかもしれません。しかし、もしあなたがその資金を返済できなかった場合は、あなたの資産はあっという間に売却という目に遭ってしまいます。まあそれが彼らのビジネスなのですから、銀行を一方的に非難することはできません。可能な限り低率で資金を借り入れ、可能な限り高率で金を貸し出すのが銀行のビジネスです。それによるマージンは実際非常に小さいので、銀行は不必要なリスクを冒すことはまずありません。彼らにとっては、ビジネスの経験はゼロだが夢だけは大きい個人クリエイターにお金を貸すぐらい危険なことはないのですから。

あなたと友人3〜4人が集まって会社を興すとしましょう。家賃の安い仕事場を借り、自分たちの作品とクライアント等のコンタクトを集積し、ぱっと目を引く会社のロゴを作り、アシスタントを1〜2人おく。その場合、最初の1年半分の諸経費は全部カバーできるという確信がなければなりません。また借入金の返済や投資金の配当については、最初の2年程は実現できないと思っていたほうがよいでしょう。起業とは「Back of an Envelope = ToDoリストを封筒の裏にさらさら書き出してみる」というような簡単なことではないのです。立派なベンチャー(冒険)なのです。そしてそれには、どういう手段を施したらよいのか、細かい部分まで理解したうえで、慎重な経理の管理が必要とされます。支出の管理と今後の流れを予測するためのスプレッドシートは絶対に必要です。

あなたのアイデアを磨きあげ、具現化するために、豪華な家一件が買えるくらいの資金が必要な場合は、投資マーケットで資金を集めなければなりません。ベンチャーキャピタル、またマーケットへの上場等の方法があります。全くゼロから資金が潤沢な状態にもっていかなくてはならない。そこで 「エンジェル」 と呼ばれる投資家たちが登場します。エンジェルはいろいろなタイプの人がいます。通常は既に成功を収めた人たちで、ビジネスを始めるのがどれだけ大変であるかを理解し、彼らに続く者たちを助けたいと思っています。もしエンジェルが見つかったら、その人物に自分たちのビジネスについてしっかりと理解をしてもらい、進展状況を報告する時間を惜しまないことです。これをやらないと、たとえエンジェルといっても不安になってくるらしく、あなたへの信頼が揺らぎ、不安定な状態を呼び込むことになりかねません。また、どんなに全てがうまくいっているような時であっても、神経質になっている投資家は事業から手を引くこともあるのです。

起業するビジネスの規模に関わらず、クライアントから資金調達をするのが一番よいでしょう。契約前から多額の資金を援助したり、状況が進展するごとに追加の資金を与えてくれるような信頼できるクライアントの支援のもとで起業することも可能です。もちろん1つの仕事が終了したら、すぐに次のプロジェクトを探さなければならないので、最初の仕事を終える前に次のクライアントを捜す作業も同時進行させることも忘れずに。

資金調達に関してはまだまだ話すことがあるので、新しい記事をお楽しみに。