サバイバルと成長

クリエイターとして仕事を始めたら、たいへんな問題が山ほどあります。やり遂げるという決意、そして生き残ってみせるという強い思いが必要です。何かと時間のかかることばかりだし、いつも仕事のことを考えなくてはなりません。それが個人的な交友関係に悪い影響を与える可能性だってあります。運も必要です。幸運は、常に努力して万全であること、そして様々なチャンスにオープンになった時に引き寄せることができるものです。自分の才能とビジネスの実務をうまくミックスし、経理状態もきちんと管理して、よいクライアントを見つけ、よい仕事を予算内で仕上げ、期日までに提出する。これらを全部網羅してようやく、チャンスに巡り会えるかどうかの地点に到達できるのです。

初期の困難を切り抜け、作品のポートフォリオができ、将来的にも持続していく自信をもつことができたら、その時点で今度はビジネスをいかに成長させるかを考えなければなりません。成長のためには、より大きな規模の仕事が必要かもしれません。それをこなすにはより多くのリソース、例えばクリエイティブなアイデア、より多くの人員、広い仕事場など、全てにおいて大きなスケールが要求されます。経営者がリソースを分け合い、より大規模なマーケットに進出し、それによってビジネスの価値を高め、拡張につなげるという方法もあります。またある時は、もっと優しい、有機的なアプローチでビジネスの成長が実現することもあるのです。あなたの夢とやる気に共鳴する人たちとの出会いから何かが生まれることも。

ビジネスの種類によって成功への手段は異なります。レストランを1件経営するのは利益が少なく苦労が絶えませんが、それが20件のオーナーとなると、実は1件の時より少しだけたいへんなだけで、苦労はあまり変わりません。20件のレストランから出る利益は大きく、チェーンのブランドを確立でき、またそのブランドを売却して多大な利益を生むこともできます。しかし、4人組のミュージシャンがメンバーをあと4人追加して、いつもの倍の出番をこなすというのはちょっと無理な話ですね。

「時に成長とは単に大きくなることを意味しない。」

クリエイティブの仕事において、成長は、多くの仕事を多くの人を使ってこなすということではないこともあります。数としては少ないが内容が大きな仕事をするということもあるのです。半年で12回のテレビドラマを撮るより10年に一度映画を撮影する。100本の短い記事を書くよりも一冊の本を書く。50件のアパートやキッチンの改築よりも市民センターを一棟設計する。クリエイティブの世界では、儲けで成長を計れないこともあります。成長とは自分の意識の変化でもあるからです。

ビジネスを大きくすることで、クリエイターの自由を拘束してしまうという危険もあります。あまりにも多大な経費や、クリエイターとしての仕事より、雇った人たちの世話をかくことに重点が置かれるような仕事は、充分に考えてから引き受けるかどうか決めたほうがよいでしょう。大きな規模の仕事だからといって、必ずしも従業員を増やす必要はありません。通常より高くても短期のスタッフを雇うこともできます。マネージャーは、必ずしも短期間の利益を優先する必要はないことを覚えておきましょう。一方で、時代に請われているクリエイティブビジネスは拡大し、大企業になっていく運命にあります。経営者であるマネージャーたちは、社内のクリエイティブな雰囲気を失うことなく拡大のためのリスクをとることも必要になってきます。しかし成長をずっと続けていくのは難しいでしょう。特に、(自信もクリエイターの1人で)皆から目標にされるような初期のリーダーたちが経営から退き、常に株主の利益を考え、リスクを避けるマネージャーが引き継いだ場合は難しくなります。